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副会長はいじっぱり 2

2 敦(ATSUSHI)

 私立秀邦学院高等学校。
 成績優秀者が集まる全国でもトップクラスの高校。
 その現生徒会を束ねるのは一条グループの御曹司一条  和臣(いちじょう かずおみ)。
 カリスマ性は1年生で会長に選ばれた位だ。
 容姿端麗、眉目秀麗。
 存在感、威厳、どれもすでに高校生離れしており、教師からの信も篤い。
 頭脳も全国トップ。
 すでに博士号まで持っているという噂まである位だった。
 
 その会長を支えるのが二宮 如(にのみや ゆき)。怜悧な美貌の副会長として名を馳せているのは本人は知らない。
 冷静沈着、冷徹無比という言葉がぴったりと当てはまる印象だった。
 漆黒のさらさらの黒髪に眼鏡。
 眼鏡が冷たい印象をさらに際立たせていた。
 それでもなお美人と表立ってではなく、裏での人気は会長よりも上だろうと言われるくらいだ。

 その生徒会の役員が校門に立って登校して来る生徒の身だしなみのチェックをしていた。
 隣同士で同じ距離の学校だけど、生徒会役員のゆきちゃんは早くに登校してる。
 「ちょっと君、随分と髪の色が…」
 敦の姿を見て生徒会役員の一人が眉を顰めながら声をかけてきた。
 「彼は届けが出てますよ」
 ゆきちゃんの声だ。
 「二宮副会長。…そうなのですか?」
 「ああ」
 眼鏡を直しながらゆきちゃんが言うけれど顔は手元に持った書類を見ていて全然敦の方など見てくれない。
 「本当だ。柏木 敦くんだね?」
 そう言って敦の目の前に立ってじっと視線を向けてきたのは生徒会長の一条 和臣だ。

 生徒会でゆきちゃんと一緒。
 クラスも同じ。 
 目線が並ぶのに身長が同じ位なのだと敦が気付く。
 「行って構わないよ。今後髪の事は誰にも触れさせないから。煩わしい思いをさせたね」
 「……いえ。別に」
 どうせそんなのいつもの事だからどうでもいい。
 幼稚園からずっと薄い色の髪の事は言われ続けた事だ。
 それでもこの色が嫌いにならなかったのはゆきちゃんが誉めてくれたから。
 「君、背が高いね。何かスポーツでも?」
 「いえ、特にやってません。……失礼します」
 小さく頭を下げてちらっとゆきちゃんの方を見るけれどゆきちゃんはやっぱり全然見てくれていない。
 ふぅと小さく溜息を吐き出してゆきちゃんの脇を通り過ぎる。
 声はかけるな、と厳命されているので声はかけない。
 折角同じ学校に入ったのになんで。
 でも同じ学校に入らなきゃさらにゆきちゃんから遠くなってしまう。
 
 「ねぇ、君…会長の目の前に立ってるのになんで平気なの?」
 とん、と腕を叩かれて話しかけられた。
 「俺、同じクラスの三浦 翔太。君、柏木 敦くんだろ?」
 話しかけてきたのは敦の肩位までしか身長がない。
 そしてどうやら同じクラスらしい。
 「平気?」
 「だって…緊張しない…?」
 「…別に緊張、までは…しねぇけど。威圧感はあるけどな」
 「だよね!」
 にこりと笑う三浦 翔太は目がでかい。随分ちんまりとしてたってヤローなのに、可愛いという表現がぴったりのやつだ。
 それからなんとなくその三浦と一緒にクラスまで向かう。

 ざわりとざわついたクラスに首を捻る。
 そういや廊下を歩いていてもなんか見られていた。
 「……ここって中学からの持ち上がり組が多いから。外部入学だけでも目立つんだ」
 こそりと三浦が教えてくれた。
 「ええと…。三浦も持ち上がり?」
 「ううん。外部。でも知り合いがずっとここだから…話だけは聞いてるから」
 「ふぅん」
 なるほど。外部入学だけでも目立つんだ。
 「…会長はずっとここ?」
 「そう。でも二宮副会長は外部組。だけど会長の信が篤くて…。副会長に大抜擢だったんだ」
 まぁ、ゆきちゃんならありだろうけど、面白くない。
 なんでゆきちゃんの横に立つのがあいつ?
 こっちはもうずっと小さい頃からゆきちゃんの後ろばっか追いかけてるのに。
 いつまでたっても隣になんて追いつけないのに。
 「二宮副会長美人さんだよね…」
 はぁ、と三浦がうっとりしたように溜息を吐き出している。
 いや、美人は分かるけど、うっとりってどうなんだ?そんなの自分だけでいいのに。
 だから男子校って。
 そんな中にゆきちゃん置いとけるか、と思ったって話しかけるなと厳命されてたら話しかけられないし。
 困った。
 それにあの会長だって当然の様にゆきちゃんの横にいるのだって歓迎出来る事じゃない。
 敦にだって分かる。あの会長は普通の人じゃないだろう。
 カリスマ性だってなんだって、目の前で見たら認めざるを得ない。
 あんなのがゆきちゃんの横に常にいるなんて。
 …自分なんて不利に決まってる。
 
 

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