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追憶の彼方から放されたい 1

 ※注意 こちらは 「追憶の彼方には戻らない」 のスピンオフになっております。



 幼い頃から変な力を持っていた。

 自分では全然気づかなかったが、物心つくころには人から敬遠されるようになっていた。
 それでも誰も表立って口にする事ななかったけれど、その事で精神的に病んだ母親は家を、父を、克己を捨てて出て行った。

 まぁ、あんな父親だったら仕方ないか、とも思ってしまうが…。
 代々代議士の家系で克己の父親も議員だった。その関係上で克己の変な力の事を知っても誰も口にしない。変な事を言って父親に切られたら大変だからだ。

 そんな克己の事を父親はいるのが分かっているのかいないのか、家にいても顔を合わせる事もない。将来の事を示唆された事もなく、進学も一人で勝手に決めた事だ。
 ただ受かった大学は一流のもので、それなりにそこは人に褒められたりもしたらしい。…父親に対するおべっかだろうけど。

 跡取りになんて言葉が聞こえるようになってきたけれど克己はそんな気はさらさらない。父親だってないはずだ。
 なにしろ克己は爆弾を抱えているようなものだ。
 今はもう大人になったし、小さい頃みたいに何でも口にする事もなくなったので誰も克己に変な力があるなんて思ってもないだろう。

 たまに陰で小さい頃の克己の言動を知っている人が噂している所を聞いた事はあったが、表立ってそれを口にする人は皆無だった。

 だが、いつでも克己は一人でいる事を選んだ。
 力の事を知られたくないというのもあるが、近づいてくる人は大概が見返りを求める者だからだ。
 煩わしい…。
 見えない鎖につながれているようだった。身動きできなく息がつまりそうだった。

 誰も自分の事など分かってくれる人などいない。人種が違うのかもしれない。そんな事を思っていた。
 変わったのは大学に入ってすぐの事だった。
 授業を終え帰ってもやる事もないけれど帰ろうかろキャンパスの中を横切っている時に声をかけられた。

 「江村 克己くん?」
 見た事もない人だった。
 「…そうですけど?」
 眼鏡をかけた鋭い眼光の人だった。どう見ても大学生には見えなくてなんでこんな所にいるのだろうと思ったが表情には出ていないはずだ。

 「尾崎 祐介です。初めまして。克己くんのお母さんが再婚したのは知ってる?その再婚相手の息子なんだけど」
 「…そうですか」
 だが、それは克己には関係はないだろう。克巳が母親に引き取られていたならば義理の兄弟になっただろうが、それでも他人に変わりはない。まして克己は母親にも捨てられたのだから。

 「ちょっと話があるんだけど?」
 「俺にはないので」
 そのまま胡散臭いヤツは通り過ぎようとした。
 物腰は柔らかいけれど、その上辺の表情は薄ら寒い感じだ。いかにも作ってますという表情のヤツに話も何もない。

 「キミになくとも俺にあるんだけど。ねぇ、変な力あるって本当?」
 「……」
 何が聞きたいのか…。
 克己は尾崎と名乗った男を睨んだ。

 「俺警察官してるんだけど。交番勤務なんだよね。希望は刑事なんだけど」
 そんなの克己には何も関係のない事だ。
 「ちょっと克己くんの事をお義母さんから聞いて…。こんなとこで話もなんだから駅のコーヒーショップにでも行かない?」

 警察と母親から聞いた克己の事とどこで話が繋がるのだろうか?
 そのまま無視したい所だったが大学の構内で余計な事を言われても困る。
 現にちらちらと視線をあちこちから感じていた。自分は目立つつもりもないし、友人なんて呼べる存在もいないし一人でいるのに綺麗と称される容姿のおかげでどうにも人の目を引いてしまう。しかも父親が代議士というのもどこからともなく噂され余計に注目を受ける事になっていた。

 それは小さい頃からずっとの事なので今更の事だが…。
 「…分かりました」
 素直に頷くと尾崎という男が先になって歩き始め、仕方なく克己もついていった。
 背が克己よりも頭半分位高い。見た目からエリート感が溢れるけれど何故かどこか胡散臭い。警察官というよりも詐欺師といったほうがしっくりくるようだ、と失礼とも取れることを思いながらゆっくりと後ろをついていった。

 年はいくつ位だろうか?30はいってないとは思うが…。
 どうにも表情も作った物を貼り付けているようで読めない。
 面倒な事にならなければいいが…と克己は少しうんざりした。
 
 
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